部下がついたりプロジェクトを管理する立場になると、必ずマネジメント能力を求められます。自分自身が結果を出すだけでなく、部下やチームの成績にも責任を持つ立場となるためです。しかし、人の業務や状態を把握し良い方向へ進めていくことはなかなか難しいです。今回はマネジメントの方法やポイントについて解説していきます。
マネジメントに必要なスキル
マネジメントは端的に言うと、「組織が成果を出すための仕組みやツール」となります。では実際に効果的なマネジメントを行うために必要なスキルはなんでしょうか。状況によって異なるので今回は「部下」と「プロジェクト」にわけて説明します。
部下のマネジメントスキル
部下のマネジメントは状況把握といかに能力を引き出すかの2つが重要です。
部下の状況把握
部下が現在どんな状況に置かれているか、周囲の人とどんな関係を構築しているかなど、部下の状況把握が必要 です。そもそも正しい判断をするためには、部下のポテンシャルや行動傾向、性格などの個性を把握しておく必要があります。普段から部下の行動に注視して部下の特徴を認識しておくようにしましょう。 そうすることで部下の個性も状況も自ずと理解できるようになり効果的なマネジメントに繋がります。
部下の能力を120%引き出す
部下を理解したうえで、部下のポテンシャルを最大限に発揮できるように導いてあげることもマネジメントには欠かせない要素です。業務に対するモチベーションを高められるように、部下にあった目標設定や適度な称賛や励ましを行うことで、部下の力で成果を出せるように導きましょう。
ただし、管理しすぎないように注意する必要もあります。部下個人の自主性を尊重し、それぞれにあったマネジメントを意識することが大事です。部下個人ごとの指導や教育にマネジメント側の時間を大きく割くようなことがないようにしましょう。
プロジェクトのマネジメントスキル
プロジェクトのマネジメントは目標設定と進捗管理の大きく2つにわかれます。組織やチーム運営も同様のスキルが必要になります。
目標設定
企業には、自分たちが掲げる理念とそれを実現するための目標があります。経営者や事業管理者は実際に目標達成するために、期間や手段、予算なども踏まえ、どのように進めるべきか、どんな課題があるのかなどを考えて戦略をたてるスキルが必要です。そしてその設定した目標を従業員に正しく伝え、理解して行動してもらうことも大事なマネジメントの要素になります。進捗管理
目標設定をして実際に達成に向けて動き出しても、正しく行動しなければ成果には繋がりません。プロジェクトが正しいやり方で正しい方向に進んでいるのか、目標・進捗管理を行うこともマネジメントの大事な要素となります。状況把握と分析、そこから優先順位の管理や業務内容の変更なども考える必要があります。マネジメント力を高める方法
では実際のどのようにしたらマネジメントスキルが身につくのか、その方法を見ていきましょう。
まずはこの4つを意識的に実践する
マネジメントにおいて基本的に使えるようにしておくべき4つの方法をお伝えします。
①傾聴
企業では部下とのコミュニケーションの大半は現状の把握になります。そのためには部下の現状を本音で語ってもらう必要があります。その方法として、聞き方を工夫することで相手が話しやすくなる場合があります。その際に重要となるポイントが傾聴です。
傾聴とは、相手の話を注意深く聞くこと、です。大事なことは、部下を100%理解しよう、という意志をもって話を聞くことです。間違っても部下の参考になるように意見を述べることを前提にしてはいけません。自分に興味を持ってくれていると部下が感じるように、相手を理解することに全力を注ぎましょう。②質問
まずは部下を理解するために傾聴する。マネジメントにおいて次に大事なことは質問です。自分が正しく理解できているかのすり合わせを行い、その後は現状に対して部下自身はどう考えているのかを尋ねましょう。大事なことは意見を誘導するのではなく、部下に主体的に考えてもらうことです。ポイントとしては、「5W1H」を使って質問や会話を進めましょう。
5W1H
ただし、Whyの使い方には注意が必要です。「なぜあのようなことをしたのか?」というように失敗を責める形になりやすいからです。そういう場合はWhatやHowをつかって原因と今後はどのように対処するかを考えさせるようにしましょう。Whyは部下からの提案やプレゼン時に使用するように留めましょう。
③フィードバック
傾聴、質問までできました。次に必要なポイントは、部下の状況や意見に対して正直にフィードバックすることです。内心実は違うんだけど…というような部下へのお伺いはいりません。正直に伝えることが大事です。思ったことを伝えなければ問題は放置されたままになってしまいます。そのせいでさらに大きな問題に発展することも少なくありません。
また、しっかりと部下を理解し意見も聞いていれば、自分を理解しその上でのフィードバックなんだと、部下も納得することができます。マネジメントする上でこのような関係性を築くことは非常に大事です。
④信頼
部下の状況の把握、今後の行動も定まった後は部下を信頼し任せましょう。管理しすぎると、部下としては結局信用されていないのではないかと感じてしまう可能性があります。なかなか実践できていない方も多いですが、部下への信頼を示し業務を任せることで成果も大きく変わってきます。信頼はモチベーションを高める材料として効果を発揮しやすいのです。
あわせてマネジメント力をあげるために意識すべきポイント
- 首尾一貫 … 決めたことをころころ変えないようにしましょう。変える場合は周囲の合意を取ることが大事です。
- 自分を持つ … 人の意見ばかり取り入れていてはだめです。自分の目標や考えていることを明確に伝えましょう。
- 平等 … 接し方はそれぞれだとしても、えこひいきのようなものがないようにしましょう。
- 専門的な知識 … 部下の業務内容にも精通していることが大事です。自分の業務に必要となる知識をもっていない上司への信頼は薄いです。
分析力、解決力を高める
マネジメントにおいては現状の把握とそれを解決し推進していくことが求められます。そのために分析力、解決力が必要不可欠ですが、これは下記3つのことを意識してマネジメントすることで高まっていきます。
- 達成したいことを明確にする
- 達成のための現実的な方法や計画を洗い出す
- 達成の障壁になる課題を洗い出し、対応する
この3つを常に意識するだけで徐々に分析力、解決力はついてきます。実践のポイントとしては、一歩下がった視点で物事を考える癖をつけることです。
判断力、リーダーシップを高める
判断力はマネジメントを行う上で最も必要なスキルと言えます。判断力があれば、現在置かれている状況を把握しそれに合わせた対応ができるため部下へ的確に指示することができます。結果的に部下は強力なリーダーシップがあると認識します。
このような判断力のある人になるには、自分を含めた関係者の状況把握が必要です。そのためにまずは関係者のスケジュール管理からはじめましょう。人のスケジュールを意識することで現状把握が容易になります。現状把握ができるようになると、的確な指示が出しやすくなり、判断力も高まるのです。
マネジメントにおすすめの本
マネジメントのやり方に行き詰まりを感じた時は、ビジネス書籍を参考に考え方や手法を変えてみるのも良いでしょう。中でもおすすめの本を3冊ご紹介していきます。
「ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ」
部下の育成と成果の両立に悩む方におすすめの本です。本書では1日たった3分の時間を使い、部下を育成する方法を解説しています。プレイングマネージャーの立場に立つ方は限られた時間で最適な育成をしていく必要があり、そのやり方に悩んでいる方に適したコーチング手法を学べます。
「コーチング・マネジメント―人と組織のハイパフォーマンスをつくる」
自律的に行動を起こしてくれる部下を育てるためには、コーチングスキルが必要です。「コーチング」とは、必要な知識やスキル、ツールを用いて部下を目標達成に導く(コーチする)ことです。部下のやる気を引き出すためのコミュニケーションなど幅広い視点から、コーチング手法の説明を行っています。部下の動機づけに悩む方に適している本です。
「外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント」
プロジェクトではチームメンバーの士気が低い、関係者との利害調整など色々な悩みに直面することでしょう。こちらの本はプロジェクトマネジメントの中でよくある課題に焦点を当て、マネジメントのコツを紹介しています。プロジェクトマネジメントに特化していますが、業務の進行が遅延しやすい部下へのマネジメントにも役立つので実用性の高い本です。
まとめ
マネジメントを行う立場の人は自分が担う仕事で結果を出すのと同時に、部下やプロジェクトの成果への責任と管理まで背負うことになります。重大な責務を持つ立場なので、効率良く役目をこなすためにはマネジメント能力の向上が必要不可欠でしょう。マネジメントに悩む方は自分の役割を見直し、ご紹介したポイントを意識しながらビジネス書籍を活用して能力向上に努めることをおすすめします。